DP572ドルビーE デコーダは、DP571ドルビーEエンコーダとの組み合わせで、DTV 放送局や番組制作者が2 チャンネルオーディオからマルチチャンネルオーディオへの移行を容易にするために設計された製品です。AES3 デジタル出力一組、デジタルビデオテープの2 つのオーディオトラック、デジタルオーディオテープ、ビデオサーバー等からのドルビーEエンコードされた信号を入力として、最大8 チャンネルの高品質オーディオとドルビーデジタルのメタデータをデコードします。
DP572 は、ディスクリートマルチチャンネルオーディオの制作や配信専用に開発されたドルビーEオーディオ符号化を装備しています。ドルビーデジタルでエンコードされた音声が一般家庭へのマルチチャンネルオーディオ伝送に最適であるのに対し、ドルビーEオーディオは、10 回以上のエンコード/デコードを繰り返しても可聴な劣化が生じないのが特徴です。
ドルビーEでは、オーディオフレームとビデオフレームが一致しているので、映像に沿った音声編集に際して、音切れ、異音、その他の音ずれが一切発生しません。そのため、デコードと再エンコードを行うことなく、直接デジタルビットストリームをスイッチングやルーティングあるいは編集することが可能です。また、ドルビーEオーディオはドルビーデジタルのメタデータも伝送します。メタデータはプログラムの制作者によって作成され、最終的に一般家庭のドルビーデジタルデコーダに配信されます(次ページ参照)。マルチチャンネルオーディオへの移行を促進するため、DP572 はドルビーEエンコードされたソースとステレオPCM信号の両方を同一経路で受信する放送施設に、簡単に導入できるようになっています。必要に応じて、ドルビーEソースに対してはデコードを行い、PCM 信号はそのまま通過させることが可能です。
マルチチャンネルプログラムのエンコードには、8 チャンネルの内6 チャンネルで5.1 ミックスを、残り2 チャンネルでLt/Rt(マトリックスサラウンドエンコード)またはステレオ2チャンネルミックスを伝送する「5.1+2」構成が使われるのが最も一般的です。その他にも、各種のチャンネル構成が用意されています。フロントパネルのLED で、ドルビーEソース信号のチャンネル構成を確認できます。
ドルビーE オーディオの入力に加えて、SMPTEタイムコード入力と、オーディオとビデオのフレームレートをロックさせておくために必要な標準ビデオ全黒基準信号の入力を備えています。リモートコントロール用コネクター、英数字ディスプレイ、チャンネル動作表示LED、メニューナビゲーションボタンなどで、操作も簡単です。リニアPCMオーディオとエンコード済みオーディオを同期させる1 フレーム分のPCM オーディオ遅延回路を搭載しており、前面パネルには確認モニタリングのためのヘッドフォンジャックが装備されています。
ドルビーデジタルは、DTV 放送、衛星放送、デジタルケーブルシステム、DVD ディスクなどで使用されている、標準オーディオ符号化システムです。ドルビーデジタルでは、マルチチャンネルプログラムの音声だけでなく、その音声についての情報も伝送されます。オーディオメタデータと呼ばれるこの情報は、制作またはポストプロダクションの工程で付加され、民生用レシーバーに搭載されたドルビーデジタルデコーダによって、オーディオ再生に対する調整を行います。
メタデータを使って、個々のプログラムが制作されたときの本来のフォーマット(モノ、ステレオ、マトリックスサラウンド、ディスクリートサラウンド)を明示し、常に適切な再生モード(「チャンネル構成」と呼ばれるもの)が使用されるようにできます。また、ダイアローグレベル(dialnorm)を基準として、リスナーがプログラムを切り換えたときに一定の音量が保たれるようにするためにも使用します。さらに、小音量でのリスニング用に、あらかじめ決められた量のダイナミックレンジ圧縮(dynrng)を制作者が適用することも可能になります。
DP570 によって、簡単かつ低コストなメタデータの作成及びモニタリングを実現でき、それによって視聴者の耳にドルビーデジタルプログラムが制作者の意図通りに聞こえることを保証できます。
オーディオ符号化アルゴリズム | ドルビーE → PCM カスケード接続:10 段以上の反復エンコード/デコードサイクルをサポート |
ドルビーE プログラム構成 | ドルビーE ビットストリームにより決定: 5.1 / 5.1+2 / 5.1+1+1 / 4x2 / 3x2 / 8x1 / 6x1 / その他も選択可能 |
オーディオサンプリングレート | 48k サンプル/秒 |
ビデオフレームレート | 29.97fps(NTSC) / 25fps(PAL:1999 年第4 四半期に追加予定) |
周波数特性 | 20Hz〜20kHz±0.25dB |
歪率 | 1kHz で0.01%以下 / 20Hz〜20kHz で0.02%以下 |
ダイナミックレンジ | 110dB 以上 |
遅延 | デコード処理:固定、1 ビデオフレーム / PCM 遅延チャンネル:1 ビデオフレームまたは最小遅延いずれかを選択可能 |
ドルビーE 入力 | BNC メス(ループスルー)、不平衡 / 信号レベルはAES-3ID-1995/SMPTE 276M 準拠 / 外付け75Ω 終端が必要 |
基準ビデオ入力 | BNC メス(ループスルー)、不平衡 / NTSC プログラムまたは全黒信号(29.97fps)、PALプログラムまたは全黒信号(25fps) 信号レベルはSMPTE 154 準拠、外付け75Ω 終端が必要 |
デジタルオーディオ出力 | 各出力BNC メス×2:1/2、3/4、5/6、7/8 / 信号レベルはAES-3ID-1995/SMPTE 276M 準拠 |
アナログステレオ出力 | 標準1/4″ヘッドフォンジャック / デコード済みPCM オーディオ、バイパスPCM、PCM 遅延チャンネルいずれかのモニタリングが可能 |
基準ビデオ入力 | BNC メス(ループスルー)、不平衡 / NTSC プログラムまたは全黒信号(29.97fps)、PALプログラムまたは全黒信号(25fps) 信号レベルはSMPTE 154 準拠、外付け75Ω 終端が必要 |
デジタルオーディオ出力 | 各出力BNC メス×2:1/2、3/4、5/6、7/8 / 信号レベルはAES-3ID-1995/SMPTE 276M 準拠 |
アナログステレオ出力 | 標準1/4″ヘッドフォンジャック / デコード済みPCM オーディオ、バイパスPCM、PCM 遅延チャンネルいずれかのモニタリングが可能 |
P C M 遅延入出力 | BNC メス×2、不平衡 / 信号レベルはAES-3ID-1995/SMPTE 276M 準拠 |
リニアタイムコード出力 | BNC メス、不平衡、SMPTE 12M 準拠 |
シリアルリモートコントロール入力 | 前面:RS-232、ミニDIN 8 ピン(メス) / 背面:D-SUB 9 ピン(メス)、SMPTE207M 準拠(RS-485) |
ステータスポート | 背面:D-SUB 9 ピン(メス)、0〜5V TTL レベル |
補助出力ポート | 背面:D-SUB 9 ピン(メス)、RS-232、全二重 |
メタデータポート | 背面:D-SUB 9 ピン(メス)、115k ビット/秒、ピン配列はSMPTE 207M 準拠(RS-485) |
フロントパネルのコントロールおよび表示部 | コントロールキー付きの、16 文字×2 行の液晶ディスプレイ 入力データ幅、ドルビーE プログラム構成、ステータス、出力チャンネル動作状況等を表示するLED インジケータ |
電源仕様 | 90〜264VAC、50〜60Hz、自動切り換え 最大15W |
サイズ及び重量 | 1 ラックマウントユニット、44mm×483mm×324mm(1.75″×19″×12.75″) 本体重量:4.8kg(10.5 ポンド) |
環境条件 | 動作時:0°〜50℃、自然対流による冷却、湿度0〜98%(結露無きこと) / 非動作時:-20°〜70℃ |
保証 | 1 年間無償保証(部品及び工賃) |
本製品の仕様は予告無しに変更されることがあります。 |